初代ランエボはレース参戦のためのホモロゲーション取得のための間に合わせ的設計であったため、
ランサーという小型セダンベースではその出力を扱いきれず、
駆動系足回りの性能が追い付いてませんでした。
よってアンダーステア特性の強い車となってしまったのですが、
そういった問題を改善するため、エボⅡが登場することになります。
1994年登場。ランサーエボリューションⅡ
- ランサーエボリューションⅡ 1994
全長全幅全高:4310x1695x1420
エンジン:4G63 直列4気筒DOHC ターボ 1997cc
最高出力:260PS/6000rpm
最大トルク:31.5kgm/3000rpm
駆動レイアウト:4WD
車両重量:1250kg
スペック上、ほとんどエボ1と同じ部分が多いのですが、
エンジンの最高出力が250PSから260PSと向上しております。
カタログ数値には現れませんが、エボⅠから駆動系強化のため、
リヤデフも通常のビスカスカップリング式から機械LSD(1.5W)へ変更しており、ボディ剛性も強化されました。
タイヤは大型化(エボI 195/55R15 エボII 205/60R15)しております。
タイヤの表記方法は 「幅/扁平率R外径」 ですから、大型化と言っても大径にはなっていません。
外観上もほぼ変化が無く、リアスポイラーが多少変わった程度です。
なんとなく、エボⅠの改造車というような印象です。
そしてエボⅡで1995年のWRCで念願の初優勝を飾ります。
今回のエボⅠからⅡへの改良で、
ブレーキの強化は行われなかったのですが、エンジンパワーが10PS上がったことにより、
ブレーキの持続性が低いことが指摘されるようになります。
しかしながら、次のエボⅢではさらにパワーの向上を目指した改良が施されることになります。
1995年登場。ランサーエボリューションⅢ
- ランサーエボリューションⅢ (GSR) 1995
全長全幅全高:4310x1695x1420
エンジン:4G63 直列4気筒DOHC ターボ 1997cc
最高出力:270PS/6250rpm
最大トルク:31.5kgm/3000rpm
駆動レイアウト:4WD
車両重量:1260kg
1994年にⅡが登場し、1995年にもうⅢが登場します。
ターボ圧縮比を見直し、高回転型(最高出力発揮回転数が6250rpmに変化)になったエンジンはエボⅡからまたも10PS最高出力が向上し、
270馬力を発揮しました。
その圧縮比を上げた設計により、負荷が大きくなったことから故障は多くなったようですが。
エボⅠからⅡまで外観上あまり変化が無かったランエボですが、
エボⅢから大型リアスポイラーと、フロントマスクもグリルの大きなデザインと印象がかなり違うようになりました。
PCCS(≒ミスファイヤリングシステム)も搭載された
有名なミスファイヤリングシステムもエボⅢから搭載されました。
ミスファイヤリングシステムという名称は三菱ではなく、スバルによるもので、
三菱ではPCCS(Post Conbusion Control System)「2次エア供給システム」というのが正式名です。
仕組みとしては多少違いますが、目的は同じでターボラグの対策として搭載されたシステムです。
そもそもターボというのは排気エネルギーによりタービンを回転させ、
コンプレッサーを駆動して空気をエンジンへ加給する仕組みになっておりますが、
アクセルオフにより一時的に排気エネルギーが減少し、タービンの回転が落ちると、
再びアクセルオンでタービンが回り、コンプレッサーが駆動するまでターボパワーが発揮できなくなります。
この遅延のことをターボラグと呼びます。
この対策として、アクセルオフ時排気エネルギーが少ない時、
タービン直前のエキゾーストマニフォールド内の未燃焼ガスを燃焼させることで過給を維持するためのシステムです。
ラリー等のレースにて低速でのコーナー侵入、加速を繰り返す状況で真価を発揮するわけです。
このPCCSの作動時にパパパパと破裂音が鳴る事から、よく演出に使われたりします。
しかしパンパンと大きな音がなってマフラーから火を噴くような状態は、
燃焼が不完全な状態であり、機関にもダメージを与えてしまってます。
ちなみにこのシステムは市販車にも搭載されているものの、オフになっており、
CPU変更改造することで動作するようです。
隠し機能というのがなかなか心をくすぐりますね。
ここまでのランエボⅠ~Ⅲまでが第1世代ランサーエボリューションとされています。
型式はランエボⅠはE-CD9A エボⅡとⅢはともに E-CE9A ですから、
ビッグマイナーチェンジのような扱いで、次のエボⅣでいよいよフルモデルチェンジを迎えるわけです。