日産バイオレットという車は、かの有名な510型ブルーバードの後継車として登場しました。
ブルーバードは1959年から2001年まで生産されていた日産の一般乗用車ですが、
なかでも510型は4輪独立懸架のサスペンションは当時日産初の新設計。
新技術とそのスタイリングも相まって国内のみならず北米市場でもヒットし、商業的に大きな成功を収めたモデルです。
特にそのスポーツグレードとして1.6LのL16エンジンを搭載した、「SSS」こと「スーパー・スポーツ・セダン」というモデルが有名です。
日産ブルーバード(510型 1967年~1972年)
その後の610型ブルーバードUは、510型の扱いと比べて車格が1ランク上がり、
車は大型化し、やや方向性の異なる変化を遂げました。
610型は1971年から1976年まで続きますが、
途中の1973年に710型が登場します。
それこそが日産バイオレットという車です。
日産バイオレット(710型 1973年~1977年)
610型でやや方向性が変わったブルーバードUはさておき、
ブルーバードには710型というシリーズが存在しません。
つまり日産としてもこの710型バイオレットを、510型ブルーバードの実質の後継と位置付けているということです。
610型で大型化し、販売ターゲットが変化したことで、従来の510型ユーザーが離れることを懸念したことが背景にあるようです。
1tを超えたブルーバードUに対して、1t以下に抑えたバイオレットは、
945kg程度だった510型に明らかに近いモデルでした。
しかし、設計は維持されていても明らかに変わったことがあります。
それはファストバックスタイルになったデザインです。
510型ブルーバードが直線的なシンプルなノッチバックスタイルだったところ、
バイオレットはハッチバック的なスタイルです。
また、うってかわって曲線の多いスタイルに変化しました。
当時は受け入れらず、不人気車となってしまった。
リアが短くスポーティーな印象で、私は好きなスタイルですが、
当時の受けは悪く、後ろが見づらい等という声も上がり、販売は低迷することになります。
もちろんフロントのデザインも異なっています。
510ブルーバードよりは柔らかい印象でしょうか。
結局その後4ドアセダンタイプはノッチバックスタイルにデザインを変更することに。
かなり印象が違いますね。
物凄く精悍でカッコイイというわけではないですが、
いうほど悪くないような?気がしますが。
そのころ1972年~1975年にかけて急激にガソリンの高騰(58円→112円に)も起こり、
後ろが見づらく、無駄(と思われてしまう)に豪華な雰囲気のバイオレットは受け入れられづらかったのかもしれません。
ということはもし510型より圧倒的にパワーがあってもやはりだめだったのかもしれません。
登場した時代が悪かったということでしょうか。