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サスペンション第1回:存在意義

自分は車の造形美から入った車好きだと自認している。
今でこそ、電気自動車よりエンジン車だ。などの思いを持っているが、
初めから機械として好きだったわけではない。

機械として車に詳しい人は、
「あの車は足が良い」とか「足が良い仕事をしている」とか
わけのわからないことをいう。

造形が好きな自分からすれば、わけがわからない。
だけどわけのわからないままでは勿体ない。
車は、やっぱり機械であって機械的要素をわからないままでは、
車の大部分を知ることが出来ない。
それはもったいないじゃないかと。

そういうわけで、機械としての車を知る第一歩として、
サスペンションについて調査することにした。

サスペンションはなぜ重要なのか?

車の仕様を見るとき、まず見るのは何だろう?
スポーツカーならば、やっぱり表の上のほうに載ってる、馬力だろう!って思ってた。
しかしだ、マツダロードスター(ND5RC)の諸元表を見たら、
エンジンパワーより、サスペンション形式のほうが上に来ている。※2023年12月

つまり、それほどまでにサスペンションってのは、
その車を語る要素として大きいってことなんだろう。

なぜか?

車ってのは宙に浮いていたら、
いくらエンジンがビッグパワーであろうが、地面を蹴ることはできない。
だから、エンジンの回転を色々な軸を介して、タイヤに伝えている。
タイヤが車を動かしているのだ。
そのタイヤをいかに地面に効率よく接地させ、力を伝えやすくするかを担うのがサスペンションである。
サスペンション無くして、エンジンもタイヤも、その持ち味を発揮することはできないというわけだ。

サスペンションは乗り心地を良くする

サスペンションについて簡単に説明するとき、昔の馬車の時代へ遡りがちだ。
馬車に車輪がそのままついていると、地面の凹凸を超えるたびに、
そのまま馬車に伝わり、乗客が飛び跳ねる。
すなわち、乗り心地が悪くなる。
ここでバネで車輪をつなぐと、衝撃をバネが吸収して乗り心地が改善される。これがすなわちサスペンションの役割というわけだ。

この話だけを聞くと、サスペンションは乗り心地改善のためにあるかのようだ。
だが、スポーツカーにとって、足回りの良し悪しは、走りの良し悪しを語る材料であって、
けして乗り心地を語る材料ではない。

なぜサスペンションが走りの速さに関係があるのか??
感覚的には分かる。
例えば、熟練のスキー選手が膝を巧み使って衝撃を吸収する映像をイメージすればいい。

スキーといえばこの膝だよ

あれこそ人間サスペンションだ。
そしてサスペンションが速さに繋がっていることの象徴ではないだろうか。

イメージはわかる。
だが、スポーツカー好きとしては、この理屈を明確に答えたい。
なぜそんなことをしてるのか?って話だ。

コーナリングにおけるサスペンションの働き

先ほどの、路面の凹凸による車や乗員の揺れや跳ねについてイメージするとき、
頭に浮かべたのは、真っ直ぐ走っている車だろう。
だが、車の足が良いとかいう話題の多くは、コーナリングの時の話だ。
曲がるときのサスペンションの役割を考えなければ、その価値を知ることが出来なさそうだ。

車がコーナーを曲がる時、遠心力によるコーナー外側への力と、各タイヤが発生するコーナリングフォースが釣り合う。
この時のモーメントをロールモーメントという。

コーナリング中の車は普通、コーナー内側のタイヤが浮き気味になり、
その側のタイヤが地面に押し付けられる形になる。

ロールする車

サスペンションが担っているのは、各タイヤの接地荷重の安定である。

この時、サスペンションがなければ、内側のタイヤは車体の傾きと共に、
そのまま浮きあがることになる。(下図A)

ところが、サスペンションがある場合、
タイヤを路面へ接地させることができる。

そしてそれは図のBではなく、Cであるほうがより安定であり、
これを実現するのがサスペンションなのである。

次回へつづく。
サスペンションの種類や構造について。

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