1989年は車、特にスポーツカー好きにとっては特別な年です。
ユーノスロードスター、R32スカイラインGT-R、180SX、MR2等、
のちに名車として語り継がれる多くの車が登場し、ヴィンテージイヤーともよばれております。
そのヴィンテージイヤーから間もなく、バブル崩壊とともにハイパワー車、ハイパフォーマンス車の需要は徐々に姿を隠すようになり、
今ではすっかり経済性・快適性が重要視されるように移り変わっていきました。
1994年、ヴィンテージイヤーから5年の月日が流れた頃、
三菱自動車からFTOというスポーツカーが登場しました。
三菱・FTO
FTO
FTOとは、Fresh Touring Origination の略で、新鮮で若々しいツーリングカーの創造という意味が込められているそうです。
さて一体なにが新鮮だったのでしょうか?
まずはそのスペックを見てみましょう。
FTOのスペック
1994年式 FTO GPX
全長全幅全高(mm):4320×1735×1300
車両重量(kg):1170kg
エンジン:6A12 ,2.0L,V6 DOHC24バルブ
最高出力:200ps/7500rpm
最大トルク:20.4kgm/6500rpm
駆動方式:FF
2.0Lの最大出力200PSとなかなか強力、加えて車重は1170kgとかなり軽いです。
おなじ2リッタークラスでは、もうしばらく後に登場するS2000の方がパワーはありますが、
重量は1240kgを超えます。
最近の車と比較するならば、トヨタ86も同じ2リッターでカタログスペックは200PSですが、
車重は最低グレードで1210kgと、いかにFTOが軽かったかがわかります。
実際、FTOは当時FFで最速と称されておりました。
その後DC2インテグラtypeRの登場により、また状況は変わったのですが。
MIVECが採用されたV6エンジンを搭載
このFTOの最上級スポーツグレードGPXについては、
MIVEC (マイベック)という技術が採用されたエンジンを搭載しております。
MIVECというのは三菱自動車が開発した可変バルブタイミング機構のことです。
可変バルブタイミング機構というとホンダのVTECが有名ですが、
VTECオンリーの技術かというとそうではなく、他メーカーでも可変バルブタイミング機構は実用化されています。
詳細には可変バルブタイミング機構にもいろんなバリエーションがありますが、
このMIVECについてはVTECと同じく、回転数によってカムの切り替えを行うタイプです。
国産車初、マニュアルモード付オートマ「INVECS-Ⅱ」
FTOの当時画期的だった特徴の一つとして、
学習機能を備えた、マニュアルモード付のINVECS-Ⅱと称するATを搭載したモデルがあったことです。
先のCMの動画でも紹介されていたように、むしろATをメインに推していたところがあり、
スポーツカーながらもMTよりもATの比率のが高かったというから驚きですね。
ヴィンテージイヤーの頃からすこし時代が流れたことを感じさせます。
今ではむしろあえてマニュアルを推すことが珍しいという扱いをされますが、
当時はスポーツモード(マニュアル操作)付きのオートマが無い時代、
新技術として発表されていたわけですから、たしかに新鮮と言っていいでしょう。
当時の先端技術をふんだんに採用した意欲作であり、今とは違う当時の時代背景が感じられます。
FTOは販売当初2年まで順調に売れたようですが、その後すぐ伸び悩み低迷することになります。
今ではあまり走っている姿をみることも無く、珍しい車です。
また上述のようにスポーツATを推していたこともあり、
残念ながらマニュアル車は中古車市場でも珍しいようです。
V6エンジンサウンドは?
FTOは2リッターのV6エンジンを搭載しておりますが、
2リッターといえば直4エンジンが多く、
6気筒といってもスープラは3Lの直6ですし、
実はV6のNAという設定はなかなかかなり珍しいエンジンです。
また、FTOに関しては開発者がマフラーにもこだわりをもって開発したそうで、
FTOといえば実は良い音がするとして一部で有名なのです。
なかなかノーマルマフラーの動画が見当たりませんでしたが、
最後に下の動画をご紹介いたします。